をテンプレートにして作成 - 井関龍太のページ
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開始行:
記憶の研究に関心がある方なら,&color(darkorchid){''マジカ...
このフレーズが“一度におぼえられる記憶項目の数は7±2くら...
しかし,このマジカルナンバー7±2の出典とされるMiller(19...
まず,Millerの論文をよく確認してみましょう。
この論文は,単独の実験の結果を報告した原著論文ではなく,...
ですから,もし特定の実験の結果を参照したいのであれば,こ...
では,この論文はどんな研究を展望しているのでしょうか。
そのひとつには,直後記憶の範囲,あるいは,記憶スパンの研...
これは,実験参加者に複数の数字や単語を提示して直後に再生...
こう書くと,ほら,ちゃんと記憶限界の話があるじゃないか,...
ところが,この記憶スパンを主に扱う節は,邦訳にして32ペー...
また,引用されている実験データも,HayesによるものとPollac...
Hayesによれば,記憶項目が二進法の数字のときは平均して約9...
確かに,7±2の範囲に入る結果です。
これに対して,Pollackでは,文字や数字を使って,入力情報が...
もちろん,後者の研究で明らかに7±2の範囲を超えて再生でき...
そう,7±2であるのは,記憶項目の数ではなく,チャンクの数...
このチャンクの発想に基づけば,練習によって記憶限界はかな...
この話題を扱った節がおよそ5ページあり,Smithの研究が紹介...
Smithは二進法の数字をチャンクにまとめておぼえる方法(自分...
ただし,実験参加者の実際の成績は,トレーニング前よりはよ...
やはり一般の人にはなかなか厳しいトレーニングだったのかも...
そこで,Smithは自分自身をトレーニングし続けたところ,ほぼ...
こうしてみると,期待するよりもデータは少ないものの,やっ...
“記憶項目”でなく“チャンク”ならいいんだろう,とも思われる...
ところが,そうではないのです。
さて,ここまでの話でだいたい10ページということは,この論...
実は,この論文で最も大きく扱われている(と私には思える)...
約14ページがこの部分に当てられています。
残りは,情報理論の話と,3つめのトピックである即座の把握...
絶対判断とは,ある刺激を与えられたときに,それが予め与え...
例えば,音の絶対判断では,実験試行の前に高い音と低い音な...
この番号の割り当てができたら,刺激音を提示します(例えば...
実験参加者は,その刺激に割り当てられた番号を答えることに...
今の例は2つでしたが,実際の実験では,使用する刺激の種類...
5種類以上の高さの音になると弁別成績はかなり落ちます。
この絶対判断のデータを検討する際にMillerが利用したのが,...
情報理論を絶対判断の実験に当てはめて考えると,実験参加者...
刺激という入力情報を受けて,それが実験参加者の中を通って...
入力情報を増やしていけば,理屈の上では,出力情報も増える...
しかし,人間という通信回線には容量の限界がありそうです。
そこで,入力情報を増やしたときの出力情報の増大が頭打ちに...
Millerは情報理論にならって,入力と出力の情報量をビットで...
1ビットは,2つの可能性を区別できる情報量です。
つまり,音の絶対判断でいえば,2種類の音が1ビットに当た...
2ビットなら4種類,3ビットなら8種類の音が区別できます。
音の絶対判断の実験によると,成績が頭打ちになるところ,す...
2.5ビットとは,およそ6つの音が区別できる情報量です。
そう,この一度に区別できる刺激の種類の限界が7±2の範囲に...
音の高さ以外にも,音の大きさ,味覚の強さ,視覚による位置...
そのいずれも,多少のばらつきはありますが,2~3ビットの...
だから,Millerの主張は,記憶ではなく,より正確には“情報処...
さらには,一次元だけでなく,多次元刺激の絶対判断に関する...
ここでいう多次元刺激とは,刺激の変化が複数の次元にまたが...
例えば,正方形の中の点の位置が縦次元と横次元の2つで変化...
こうした多次元刺激を使った場合,刺激の次元数を増すにつれ...
上記の正方形中の点の場合,二次元では4.6ビットですが,一次...
聴覚の6つの変数(周波数,強度,中断率など)を操作して,...
これは約150のカテゴリーに相当するとか。
こうしてみると,この絶対判断に関しても,単純に7±2個を区...
現に,この多次元刺激の節は,Millerの次のような論述で始ま...
>これまで私が注意深く,不思議な数“7”は,一次元の判断に当...
<
そして,この節は次のコメントで終わります。
>この種の実験が示しているのは,同時に一つ以上の属性を判断...
<
そうすると,実はMillerは7±2の限界にはそれほどこだわって...
むしろ,チャンキングにも似たような,この限界の上にあるメ...
レヴューの3つめのトピックとして,即座の把握とかサビタイ...
これは,ドット(点)などの刺激を短期的に提示すると,すば...
Millerはこの個数が7個であるとしています(引用されている...
しかし,これは今となっては正しくない結論だと思います。
というのは,サビタイジングは,一般的には,4個の限界とさ...
のちのこの分野の研究のレヴューによれば,基本的にどの研究...
ただし,5個以上の限界を報告する研究は古い時代のものが多...
ということで,Miller(1956)の扱った3つのトピックのうち...
やや長くなりましたが,Miller(1956)の論文で扱っているの...
それらに共通の限界がある,というのが論文のモチーフではあ...
さらには,主張の根拠とするデータの量や質にもけっこうな違...
もっとも充実して述べられているのは絶対判断で,その次が記...
しかし,一番信頼のおけそうな絶対判断の研究においてさえ,...
むしろ,Millerの興味は違ったところにありそうです。
それでは,どうしてこのような3つの別々のトピックを並べた...
それには,ある事情がありました。
この論文は,もともとはMillerの招待講演の内容をもとにした...
Cowan(2005)が詳しく紹介していますが,このあたりの事情に...
当時,MillerはEastern Psychological Associationから招待講...
Millerはこの栄誉ある招待をぜひ受けたいと考えていましたが...
絶対判断と直後記憶というそれぞれ別々のテーマ(Millerは“to...
その結果,Millerはついにこの2つのテーマを結びつけるもの...
>私が考えることのできた唯一のものは,数の類似であった。数...
<
ということで,Miller本人としては,マジカルナンバーはちょ...
そういわれてみれば,Miller(1956)は,冒頭も終わりの部分...
Millerは,なぜこの論文がこんなによく引用されるのかわから...
それでは,マジカルナンバー7±2というのは(特に,これが記...
これがまた面倒なのですが,そうとも言い切れないのではない...
確かに,あちこちで不正確に引用・紹介されているために,も...
記憶スパンの限界は7±2だ,ということも,Miller(1956)で...
にも関わらず,経験則としてはなお7±2が当てはまる場合があ...
例えば,Cowan et al.(1999)は,成人の数字スパンの平均が7...
子どもの成績と比較するために収集されたデータなのですが,...
同様に,Allen & Baddeley(2009)も,成人の数字スパンが平...
単語スパンになるともう少し値は小さく,Jefferies et al.(2...
これらの研究がどれだけ代表的かはわかりませんが,平均値は...
ただし,これらは記憶スパンという限られた実験状況の中での...
Cowan(2001)は,厳密な統制を行なえば,注意や短期記憶の限...
通常の記憶スパン課題では,短期記憶の容量だけでなく,リハ...
そこで,二重課題を課す,注意を他の刺激に逸らすなどの方法...
Cowanの論文でも,即座の把握の話題が4±1の例として取り上...
でも,雑多な要因が混じりこむ状況では,今でも7±2が通用し...
しかし,本当のところは,数がいくつかということそのものは...
Miller(1956)は,わりと論文の最初の方から,刺激の次元を...
Cowan(2005)も,限界の数そのものというよりは,情報処理の...
“人間の情報処理限界はいくつである”などと言われると,つい...
----
Allen, R. J., & Baddeley, A. D. (2009). Working memory an...
Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memo...
Cowan, N. (2005). '''Working memory capacity'''. Hove, Ea...
Cowan, N., Nugent, L. D., Elliott, E. M., Ponomarev, I., ...
Jefferies, E., Lambon Ralph, M. A., & Baddeley, A. D. (20...
Miller, G. A. (1956). The magical number seven, plus or m...
Miller, G. A. (1989). George A. Miller. In G. Lindzey (Ed...
Trick, L. M., & Pylyshyn, Z. W. (1994). Why are small and...
RIGHT:(2012-01-02)
&tag(記憶);
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記憶の研究に関心がある方なら,&color(darkorchid){''マジカ...
このフレーズが“一度におぼえられる記憶項目の数は7±2くら...
しかし,このマジカルナンバー7±2の出典とされるMiller(19...
まず,Millerの論文をよく確認してみましょう。
この論文は,単独の実験の結果を報告した原著論文ではなく,...
ですから,もし特定の実験の結果を参照したいのであれば,こ...
では,この論文はどんな研究を展望しているのでしょうか。
そのひとつには,直後記憶の範囲,あるいは,記憶スパンの研...
これは,実験参加者に複数の数字や単語を提示して直後に再生...
こう書くと,ほら,ちゃんと記憶限界の話があるじゃないか,...
ところが,この記憶スパンを主に扱う節は,邦訳にして32ペー...
また,引用されている実験データも,HayesによるものとPollac...
Hayesによれば,記憶項目が二進法の数字のときは平均して約9...
確かに,7±2の範囲に入る結果です。
これに対して,Pollackでは,文字や数字を使って,入力情報が...
もちろん,後者の研究で明らかに7±2の範囲を超えて再生でき...
そう,7±2であるのは,記憶項目の数ではなく,チャンクの数...
このチャンクの発想に基づけば,練習によって記憶限界はかな...
この話題を扱った節がおよそ5ページあり,Smithの研究が紹介...
Smithは二進法の数字をチャンクにまとめておぼえる方法(自分...
ただし,実験参加者の実際の成績は,トレーニング前よりはよ...
やはり一般の人にはなかなか厳しいトレーニングだったのかも...
そこで,Smithは自分自身をトレーニングし続けたところ,ほぼ...
こうしてみると,期待するよりもデータは少ないものの,やっ...
“記憶項目”でなく“チャンク”ならいいんだろう,とも思われる...
ところが,そうではないのです。
さて,ここまでの話でだいたい10ページということは,この論...
実は,この論文で最も大きく扱われている(と私には思える)...
約14ページがこの部分に当てられています。
残りは,情報理論の話と,3つめのトピックである即座の把握...
絶対判断とは,ある刺激を与えられたときに,それが予め与え...
例えば,音の絶対判断では,実験試行の前に高い音と低い音な...
この番号の割り当てができたら,刺激音を提示します(例えば...
実験参加者は,その刺激に割り当てられた番号を答えることに...
今の例は2つでしたが,実際の実験では,使用する刺激の種類...
5種類以上の高さの音になると弁別成績はかなり落ちます。
この絶対判断のデータを検討する際にMillerが利用したのが,...
情報理論を絶対判断の実験に当てはめて考えると,実験参加者...
刺激という入力情報を受けて,それが実験参加者の中を通って...
入力情報を増やしていけば,理屈の上では,出力情報も増える...
しかし,人間という通信回線には容量の限界がありそうです。
そこで,入力情報を増やしたときの出力情報の増大が頭打ちに...
Millerは情報理論にならって,入力と出力の情報量をビットで...
1ビットは,2つの可能性を区別できる情報量です。
つまり,音の絶対判断でいえば,2種類の音が1ビットに当た...
2ビットなら4種類,3ビットなら8種類の音が区別できます。
音の絶対判断の実験によると,成績が頭打ちになるところ,す...
2.5ビットとは,およそ6つの音が区別できる情報量です。
そう,この一度に区別できる刺激の種類の限界が7±2の範囲に...
音の高さ以外にも,音の大きさ,味覚の強さ,視覚による位置...
そのいずれも,多少のばらつきはありますが,2~3ビットの...
だから,Millerの主張は,記憶ではなく,より正確には“情報処...
さらには,一次元だけでなく,多次元刺激の絶対判断に関する...
ここでいう多次元刺激とは,刺激の変化が複数の次元にまたが...
例えば,正方形の中の点の位置が縦次元と横次元の2つで変化...
こうした多次元刺激を使った場合,刺激の次元数を増すにつれ...
上記の正方形中の点の場合,二次元では4.6ビットですが,一次...
聴覚の6つの変数(周波数,強度,中断率など)を操作して,...
これは約150のカテゴリーに相当するとか。
こうしてみると,この絶対判断に関しても,単純に7±2個を区...
現に,この多次元刺激の節は,Millerの次のような論述で始ま...
>これまで私が注意深く,不思議な数“7”は,一次元の判断に当...
<
そして,この節は次のコメントで終わります。
>この種の実験が示しているのは,同時に一つ以上の属性を判断...
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そうすると,実はMillerは7±2の限界にはそれほどこだわって...
むしろ,チャンキングにも似たような,この限界の上にあるメ...
レヴューの3つめのトピックとして,即座の把握とかサビタイ...
これは,ドット(点)などの刺激を短期的に提示すると,すば...
Millerはこの個数が7個であるとしています(引用されている...
しかし,これは今となっては正しくない結論だと思います。
というのは,サビタイジングは,一般的には,4個の限界とさ...
のちのこの分野の研究のレヴューによれば,基本的にどの研究...
ただし,5個以上の限界を報告する研究は古い時代のものが多...
ということで,Miller(1956)の扱った3つのトピックのうち...
やや長くなりましたが,Miller(1956)の論文で扱っているの...
それらに共通の限界がある,というのが論文のモチーフではあ...
さらには,主張の根拠とするデータの量や質にもけっこうな違...
もっとも充実して述べられているのは絶対判断で,その次が記...
しかし,一番信頼のおけそうな絶対判断の研究においてさえ,...
むしろ,Millerの興味は違ったところにありそうです。
それでは,どうしてこのような3つの別々のトピックを並べた...
それには,ある事情がありました。
この論文は,もともとはMillerの招待講演の内容をもとにした...
Cowan(2005)が詳しく紹介していますが,このあたりの事情に...
当時,MillerはEastern Psychological Associationから招待講...
Millerはこの栄誉ある招待をぜひ受けたいと考えていましたが...
絶対判断と直後記憶というそれぞれ別々のテーマ(Millerは“to...
その結果,Millerはついにこの2つのテーマを結びつけるもの...
>私が考えることのできた唯一のものは,数の類似であった。数...
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ということで,Miller本人としては,マジカルナンバーはちょ...
そういわれてみれば,Miller(1956)は,冒頭も終わりの部分...
Millerは,なぜこの論文がこんなによく引用されるのかわから...
それでは,マジカルナンバー7±2というのは(特に,これが記...
これがまた面倒なのですが,そうとも言い切れないのではない...
確かに,あちこちで不正確に引用・紹介されているために,も...
記憶スパンの限界は7±2だ,ということも,Miller(1956)で...
にも関わらず,経験則としてはなお7±2が当てはまる場合があ...
例えば,Cowan et al.(1999)は,成人の数字スパンの平均が7...
子どもの成績と比較するために収集されたデータなのですが,...
同様に,Allen & Baddeley(2009)も,成人の数字スパンが平...
単語スパンになるともう少し値は小さく,Jefferies et al.(2...
これらの研究がどれだけ代表的かはわかりませんが,平均値は...
ただし,これらは記憶スパンという限られた実験状況の中での...
Cowan(2001)は,厳密な統制を行なえば,注意や短期記憶の限...
通常の記憶スパン課題では,短期記憶の容量だけでなく,リハ...
そこで,二重課題を課す,注意を他の刺激に逸らすなどの方法...
Cowanの論文でも,即座の把握の話題が4±1の例として取り上...
でも,雑多な要因が混じりこむ状況では,今でも7±2が通用し...
しかし,本当のところは,数がいくつかということそのものは...
Miller(1956)は,わりと論文の最初の方から,刺激の次元を...
Cowan(2005)も,限界の数そのものというよりは,情報処理の...
“人間の情報処理限界はいくつである”などと言われると,つい...
----
Allen, R. J., & Baddeley, A. D. (2009). Working memory an...
Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memo...
Cowan, N. (2005). '''Working memory capacity'''. Hove, Ea...
Cowan, N., Nugent, L. D., Elliott, E. M., Ponomarev, I., ...
Jefferies, E., Lambon Ralph, M. A., & Baddeley, A. D. (20...
Miller, G. A. (1956). The magical number seven, plus or m...
Miller, G. A. (1989). George A. Miller. In G. Lindzey (Ed...
Trick, L. M., & Pylyshyn, Z. W. (1994). Why are small and...
RIGHT:(2012-01-02)
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